眼瞼下垂の匠 第8章:先天性眼瞼下垂症(生まれつき)
筋肉の動きが悪いタイプの治療法
第3章で説明した通り、先天性眼瞼下垂 は
このタイプの眼瞼下垂症の手術では、動かない眼瞼挙筋の代わりに眼瞼を持ち上げる別の動力源が必要になり、その代表的な手術は
以前は当院でも先天性眼瞼下垂に対しては第一選択として筋膜移植手術を行ってまいりました。しかし、近年では


10代:男性・先天性眼瞼下垂

眼瞼下垂症例施術紹介
- 施術担当医
- 吉川 嘉一郎
患者様情報
- 年齢
- 10代
- 性別
- 男性
施術について
- 施術名
- 眼瞼下垂症手術(挙筋前転を伴う)
- 施術年
- 2025年
- 施術概要
-
- 上:施術前(before)
- 下:施術後(after)
- 施術費用
-
- 保険診療
- 両目約44,000円
副作用・リスク
- 副作用
- 腫れ・内出血:1〜2週間程度
- リスク
- 開瞼不足や過開眼
コメント
先天性眼瞼下垂は基本的に筋膜移植手術が適応となります。しかし、当院では腱膜前転術を追求した結果、筋膜を使用せず、まぶたの手術だけでここまでの改善が可能となりました。もちろんここまで改善は難しい方もいらっしゃるかも知れません。

おでこを使っても手術前は目を開くことができませんでしたが、手術後かなり開眼ができる様になりました。筋膜移植をしなくてもここまで目を開くことができる様になったのは良かったと思います。
筋膜移植術
上の症例の患者様の様に




こうすることで代償性に動く前頭筋の力が筋膜を通じて存分に眼瞼に伝わるので、目が楽に開くようになります。眉毛を上げれば上げるだけ、おでこを動かせば動かすだけ目を開くことができるようになります。図に表すとこんなところだと思います。
しかし、この術式も完璧なものではなく、残念なこともあります。前頭筋でまぶたを上げることになるため、必然と言えば必然ですがおでこのシワは残ります。筋膜移植術を行うと下を見る際どうしても上三白眼となってしまいます。通常は足元など下を見る時はまぶたも下がり瞳の上の白い部分を覆い隠しますが、筋膜移植をして前頭筋で眼瞼を引っ張っていると眼瞼が上がったまま目玉(眼球)だけが下を向いてしまいます。少し奇妙な風貌となってしまいますが、視野を確保するためには仕方のないことなのです。


また、この手術はおでこの筋肉を使うことが前提の手術なので、おでこを使わない限り、眉毛を挙上しない限り目が開くことはありません。
残念ではありますが、他院でこの筋膜移植法手術を受けたにも関わらず目が開かないと当院を訪れる患者様がたまにいらっしゃいます。診察の際おでこを使い眉毛を上げて頂くとしっかりと目は開きます。ただ、手術を受けた病院できちんとした説明を受けていないため、おでこを使わなければ目が開かないということを知らずにいるということがあります。
20代:男性・右側先天性眼瞼下垂症(他院修正)

眼瞼下垂症例施術紹介
- 施術担当医
- 吉川 嘉一郎
患者様情報
- 年齢
- 20代
- 性別
- 男性
施術について
- 施術名
- 眼瞼下垂症手術(
筋膜移植手術 )
- 施術年
- 2014年
- 施術概要
-
- 上:施術前(before)
- 下:施術後術後3ヶ月(after)
- 施術費用
-
- 保険診療
- 右目のみ約56,000円
副作用・リスク
- 副作用
- 腫れ・内出血:1〜2週間程度
- リスク
- 開瞼不足、兎眼・過開眼或、ドライアイ
コメント
幼少時一度手術を受けたけれども上手くいかなかったとのことでした。挙筋に全く動きをみとめなかったため、前転法の適応はないと判断し、筋膜移植手術を行いました。若干閉じにくい感じが残りましたが、右眉毛を頑張ってあげることなく、開瞼に関しては満足の行く結果となりました。
第9章では眼瞼下垂症の症例写真を見てみましょう。
院長よりアドバイス
目の開き方が正常に戻ります。目の奥の痛みが取れた、頭痛がなくなった、首や肩の筋肉の硬さがスーッと抜けて楽になった、などなど様々な症状が一気に改善するようです。眼瞼下垂症の程度が軽度であったとしても手術をすることで様々な症状から解放されるので、一考してみても良いかも知れません。

ページ著者紹介
- 吉川 嘉一郎( よしかわ かいちろう)
- 形成外科医 / 四谷見附クリニック院長
- 形成外科学会認定専門医
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