眼瞼下垂の匠 第1章:眼瞼下垂症の分類と種類

眼瞼下垂症とは

「眼瞼下垂症の達人」として10年前に本ページを作成しましたが、皆様から「たくみ」とした方が良いとのご指摘を頂き、リニューアルに伴い「眼瞼下垂症の匠」と名称変更することといたしました。また、内容も「達人」を制作してから10年が経ち私自身の眼瞼下垂症がんけんかすいしょうという疾患に対する考え方にも変化が出てまいりましたので、それらも踏まえてコンテンツをリニューアルいたしました。

眼瞼下垂症全体画像
眼瞼下垂症の見た目の特徴

眼瞼下垂症がんけんかすいしょうが様々なメディアで取り上げられるようになってきたため、眼瞼下垂症がんけんかすいしょうという病名は一般の方にも周知されるようになって参りました。この発端となったのは信州大学形成外科の松尾教授が肩凝りや頭痛に悩む患者様の眼瞼下垂症を治すことでこの様な症状から解放されることを発見し、色々な場で発表されたからです。

しかし、多くの場合は完全に誤解されている様に思います。そして残念なことに、病気を診断する側の医師も『眼瞼下垂症
がんけんかすいしょう
』を医学的に正確に把握していないと思われ、最近は誤診されている患者様の数が非常に多いという実感があります。

日々眼瞼下垂症がんけんかすいしょうの診療に携わる中、ほとんどの人に後天的に生ずる腱膜性眼瞼下垂けんまくせいがんけんかすいをみとめます。腱膜性眼瞼下垂けんまくせいがんけんかすい上眼瞼じょうがんけん(うわまぶた)の動きが正常ではなくなってしまい「目の奥が痛い」、「眼精疲労」、「肩や首がこる」、「片頭痛」、「歯ぎしり・食いしばり」、ひどい場合は「自律神経失調症」など体に様々な不調な症状を発症する状態をいいます。

実は目の開きは正常に見える『眼瞼下垂症がんけんかすいしょう』の患者様も大勢いらっしゃいます。目の開きが正常(普通)に見え、ご本人も周囲の人も目の開きが悪いなど1ミリも思っていないひとみがちゃんと露出しているような状態でも『眼瞼下垂症がんけんかすいしょう』の可能性はあります。この様な状態を最近では眼瞼下垂症がんけんかすいしょう代償期だいしょうきと呼ぶ様になってきました。この 代償期だいしょうきの診断は眼瞼下垂症がんけんかすいしょう治療に本当に精通していない医師でなけれれば難しいかも知れません。

正面を向いている状態でまぶたが瞳(黒目)の上まで上げられない状態までなってくるとかなり重症です。ここまでくると一般の人でも眼瞼下垂の認識は出てくると思います。ここまでくると『眼瞼下垂症がんけんかすいしょう非代償期ひだいしょうき』といわれ、まぶたが瞳孔どうこうまで被さると視野が狭くなり、前が見にくくなります。 医学的には眼瞼下垂がかなり進んだ状態と考えられ、見た目として軽度の眼瞼下垂だとしても専門家からすると重症のくくりに入ってきます。

瞳の露出程度による分類

正常な開眼
正常な開眼
軽度眼瞼下垂症
軽度下垂
中等度眼瞼下垂症
中等度下垂
強度眼瞼下垂症
強度下垂
正常な開眼 瞳は全体の80%ほど露出し、瞳孔(瞳の中の黒い部分)は100%露出している状態
正常である可能性はあるが、眼瞼下垂症がんけんかすいは否定できず、代償期だいしょうき(眼瞼下垂の初期)である可能性はある
軽度下垂 まぶたが下がり、瞳孔に少しかかるかかからないか程度の状態
中等度下垂 まぶたが下がり、瞳孔中央近くまで下がってしまった状態
強度下垂 まぶたが下がり、瞳孔中央を超えて更に下がってしまった状態

眼瞼下垂症の種類

眼瞼下垂症がんけんかすいしょうはものすごくざっくりと大きな種類に分けると
まぶた
を上げる筋肉(眼瞼挙筋がんけんきょきん)の動きが悪いタイプ」

まぶた
を上げる筋肉の動きは問題がないタイプ」
の2種類に分けることができます。

「筋肉の動きが悪いタイプ」の殆どは先天性眼瞼下垂せんてんせいがんけんかすい(生まれた時から目の開きが悪い)で、生まれた時から目の開きが悪く、目つきが悪いなどで悩んできた人も多いかも知れません。生まれつきではなくても全身の筋肉の動きが悪くなる病気や脳腫瘍などで後天的に瞼の筋肉が動かなくなることもあります。

「筋肉の動きは問題がないタイプ」には腱膜性眼瞼下垂けんまくせいがんけんかすいが多くみとめられます。

またそれとは別にまぶたの筋肉の動きとしては正常なのにも関わらず眼瞼下垂症の様に見えてしまう偽眼瞼下垂症
ぎがんけんかすい
という状態のこともあります。

筋肉の動きが悪いタイプ 先天性眼瞼下垂・重症筋無力症・外眼筋ミオパチー など
筋肉の動きには問題がないタイプ 腱膜性眼瞼下垂・コンタクトレンズ性眼瞼下垂 など
偽眼瞼下垂症ぎがんけんかすい(正常)
眼瞼下垂症の様に見えてしまう状態
上眼瞼皮膚弛緩症・眉毛下垂(前頭筋皮膚弛緩症)・眼瞼痙攣 など

筋肉の動きが悪いタイプ

生まれつき目の開きが悪い人が殆どで、目が細くおでこのシワが深く視野が狭いのが特徴です。殆どの場合は視力に問題ないと考えられていますが、弱視先天性眼瞼下垂じゃくしせんてんせいがんけんかすいはまぶたを上げる(目を開ける)筋肉である上眼瞼挙筋じょうがんけんきょきんの発育不足やその筋肉を動かす動眼神経どうがんしんけいの発達異常によるものと考えられています。

筋肉の動きには問題がないタイプ

普通にまぶたが開いていた人のまぶたが何かしらの原因により徐々に開かなくなってしまった状態です。後天性に起こる眼瞼下垂症がんけんかすいしょうの殆どは長い年月かけて少しずつまぶたを上げる腱膜けんまくなどに問題が生じてしまうことにより起こる腱膜性眼瞼下垂けんまくせいがんけんかすいであると考えられています。加齢に伴い目が小さくなった場合の殆どはこれにあたりますが、ハードコンタクトレンズの長期使用や白内障、緑内障などの眼科的手術の後にも生じることもあります。

腱膜性眼瞼下垂けんまくせいがんけんかすいには見た目は正常で、普通に目が開いている様に見える代償期だいしょうきの場合と、誰がみても明らかに目が開いていない非代償期ひだいしょうきの場合があります。

見た目が正常な代償期だいしょうきの患者様の場合腱膜けんまく瞼板けんばんより外れているがミュラー筋には比較的問題をみとめません。

誰がみても明らかに目が開かなくなっている非代償期ひだいしょうきの患者様の場合腱膜けんまく瞼板けんばんより外れているだけでなく、ミュラー筋も伸びてしまい目を開けなくなってしまった状態です。

いずれも筋肉の動きが悪いタイプのように神経や筋肉の動きに問題があることは殆どありません。

偽眼瞼下垂症

偽眼瞼下垂症ぎがんけんかすい眼瞼下垂症がんけんかすいしょうではないのですが、おでこの過剰な弛みによる眉毛の下垂やまぶたの皮膚が過剰に弛んでしまっている眼瞼皮膚弛緩症がんけんひふしかんしょうにより外見上は目が細くなり眼瞼下垂症の様に見えてしまいます。眼瞼下垂症と同じ様な症状が出るため、一見眼瞼下垂症のように感じてしまいますが、目を開くこと自体は何も問題がなくできている正常な状態です。

次の第2章で眼瞼の解剖としくみについて考えてみましょう。

院長よりアドバイス

眼瞼下垂症の治療方針を決めていく上で目を開く筋肉が動くのか動かないのかは非常に重要です。正常に目が開いている様に見えるにも関わらず眼瞼下垂であったり、逆に筋肉の動きに問題がない偽眼瞼下垂症ぎがんけんかすいしょうという正常な状態にも関わらず眼瞼下垂症がんけんかすいしょうと診断されてしまったり行く病院行く病院で違う診断を受け混乱してしまうことも少なくありません。正常に目が開くにも関わらず眼瞼下垂症手術を受けると目の開きが大きくなりすぎてしまったりすることもあります。眼瞼下垂症の様に見える場合、何処にどの様な問題があるのかを正確に診断することが良い結果を出すための第一歩になります。眼瞼下垂症がんけんかすいしょうの診断は非常に難しいため眼瞼下垂症に精通した形成外科専門医のいる外来へご来院頂き、何が原因で目の開きが悪くなっているのかを精査することをお勧め致します。

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