ミュラー筋とは、
眼瞼下垂というそれまでとまぶたの挙上を主としていた
そして、ここからは難しいこと。
ミュラー筋は修復した方が良いのか?触らない方が良いのか?
ミュラー筋は非常に繊細な筋肉で、色々なセンサーを備え持っています。だからに手を加えるべきではありません。以前より形成外科学会ではミュラー筋は手術の際触るべきではないと言われてきています。その教えを守り、私も昔はミュラー筋を触らない手術を心がけて参りました。しかし、ミュラー筋を触らない手術だけではどうしても眼瞼下垂の治療結果に満足がいかない結果となることも多くありました。面白いことに眼科や神経内科の医師はミュラー筋を触らなければ眼瞼下垂は治り切らないという話も学会では出ていたので、数年前から必要と考えられる患者様の場合は眼瞼下垂の手術の際ミュラー筋も修復することにしました。そうしたところ術後の成績は自他覚ともにとても良いものとなりました。正直初めのころはミュラー筋を修復する匙加減が非常に難しく悩んだ時期もありました。とても繊細な筋肉であるため操作自体も繊細に行う必要がありますが、繊細な操作をすれば術後経過もとても良く、今ではミュラー筋に問題が生じている患者様は率先してミュラー筋の修復をすべきと考えています。
ただ、本当に繊細な筋肉なため下手に触ると逆に交感神経を刺激していまい
繊細な筋肉だからこそ、ミュラー筋は眼瞼下垂手術に不慣れな医師は触らない方が良いということは間違いないし、触らなければ完治は難しいかも知れないけれども、悪いこと(合併症)は起きないと考えられます。「切らない眼瞼下垂手術」などというミュラー筋自体を直接見ることもせず、雑に縫い込む手術などは絶対に行うべきではありません。
もともとミュラー筋は開瞼を補助するための筋肉なので、ミュラー筋自体で開瞼を行う様な無理なミュラー筋タッキングではなく、開瞼の補助となる様な状態に修復する程度が最良と思われます。
ミュラー筋は非常に繊細な自立神経に支配されているとても繊細な筋肉です。やみくもに触るべきではありません。しかし、適切に操作をすることで眼瞼下垂の色々な自覚症状がより改善されます。患者様全員のミュラー筋を操作するのではなく、ミュラー筋に問題がある患者様のミュラー筋だけを適切に治す。無理に治すのではなく、適切に治すということがコツと言えます。
ページ著者紹介
- 吉川 嘉一郎( よしかわ かいちろう)
- 形成外科医 / 四谷見附クリニック院長
- 形成外科学会認定専門医
- 院長紹介(プロフィール)ページへのリンク